＜和歌山市＞和歌山の実家で一人暮らしをする母の生活と資産凍結が心配
状況
大阪市にお住まいの彩子さんからのご相談です。
３年前にお父様が逝去され、和歌山市のご実家にお母さんの美代さんが１人暮らしをしています。
美代さんは、これから齢を重ねて介護が必要になれば施設へ入所したいと考えています。彩子さんは、美代さんにできるだけのサポートをしてあげたいと考えていますが、遠方ということもあって将来美代さんが介護施設へ入所したい気持ちを了承しています。
美代さんのお持ちの資産は、夫から引き継いだ自宅と預貯金です。
今は元気な美代さん、何も困っていることはありません。ですが、美代さんも彩子さんも、美代さんの体調に変化があったり、認知症になってしまったらどうなるのかと気になってご相談にお越しくださいました。
ご家庭に潜むリスク
美代さんが認知症などで判断力が不十分となると、次のように財産が凍結状態になってしまいます。
① 定期預貯金の解約ができなくなるおそれがあります。定期預金の解約には、金融機関での意思確認が必要となります。定期預貯金解約の意思をしっかり表明できないと、定期預貯金は、解約ができず使えないお金となってしまいます。
② ご自宅の売却ができなくなるおそれがあります。ご自宅の売却には、宅地建物取引士と司法書士の意思確認が必要となります。ご自宅売却の意思がしっかり表明できないと、ご自宅の売却ができず、売れないまま空き家となってしまいます。現金化できないだけではなく、大阪に住む彩子さんに実家の管理負担がのしかかり、固定資産税や草刈り費用などの出費が続きます。
③ 定期預金が解約できず使えないお金になり、自宅が売れずに現金化できないとなると、美代さんの介護費用や生活費などの金銭的な負担が彩子さんにのしかかるおそれがあります。
家族信託の設計
美代さんの老後に備えて、美代さんと彩子さんの間で家族信託契約を結びました。託したのは、ご自宅と定期預金分のお金1,500万円。
彩子さんに託しておくことで、ご自宅の売却や1,500万円の管理は、すべて彩子さんが行うことができるようになりました。美代さんが認知症になっても、財産が凍結する事態を回避することができました。
ご自宅を売却した代金は引き続き信託財産として彩子さんが管理することができます。
託した1,500万円のお金と、いずれ売却するご自宅の代金は、家族信託専用口座を新たに開設して預け入れをして管理します。こうすることで美代さんが彩子さんに託したお金だということが一目瞭然です。
※信託専用の口座は、家族信託に対応する金融機関でのみ開設することができます。地域の金融機関ごとに開設の可否は異なりますことをご了承ください。
家族信託を活用するメリット
家族信託を活用したことで、美代さんも彩子さんも、
・美代さんが齢を重ねても、財産が凍結してしまうかも!?という心配をする必要がなくなりました。
・家族信託の設計が進む中、美代さんの老後の希望や不安について親子で話を重ねたことで、彩子さんは美代さんの希望する老後の過ごし方を知ることができました。
・彩子さんは、ご自身のお金から介護費用や生活費を捻出することになるかも!?という余計な心配をする必要がなくなったことで、安心して美代さんのサポートをすることができます。
今回かかった費用
美代さんのご自宅（評価額800万円）と託したお金（1,500万円）を足すと、信託した財産の合計は2,300万円となります。
①家族信託の仕組みを設計するコンサルティング費用
（家族会議サポート・公証役場との連絡・信託専用口座開設金融機関との連絡報酬が含まれます。）
信託財産の価額が3,000万円以下の場合：３０万円（消費税抜き）
※当センターでは、別途の信託契約書作成費用は必要ありません。契約書作成費用として１５万円ほど必要になる事務所が多いですが、当センターでは上記コンサルティング費用に含んで計算しています。できるだけかかる費用を少なくご提供し、多くのご家庭で家族信託・家族会議を利用して頂きたいと願っているからです。
②信託契約公正証書の作成
公証役場手数料：35,000円＋収入印紙200円
③ご自宅の信託による名義変更
司法書士費用１０万円（消費税抜）＋登録免許税およそ３万円
合計 約４６５,２００円で家族信託のお手伝いをさせていただきました。
（当センター報酬には消費税が必要となります。）
