遺産相続の手続きを分かりやすく解説!必要書類や流れ、注意点まとめ
相続手続きはとても複雑な手続きです。
「手続きって自分でできるの?」「どんな書類が必要なの?」と悩む方も多くいらっしゃいます。
この記事では、相続の基本・具体的な流れ・必要書類などをわかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
遺産相続手続きのキホン
遺産相続に必要な書類は?
遺産相続手続きの期限
遺産相続手続きで注意すべきことは?
司法書士による手続き代行
遺産相続手続きのキホン
遺産相続手続きとは?
まず「遺産相続手続き」というのは、亡くなった方の「財産」を、相続人が受け継ぐための一連の手続きのことをいいます。
財産には、以下のようなものが含まれます。
・プラスの財産:現金、不動産、預貯金、株式など
・マイナスの財産:借金、ローン、未払いの税金など
相続人は、次の3つの選択肢からどの方法を取るかを決める必要があります。
・単純承認:プラスの財産もマイナスの財産もそのまま引き継ぐ
・限定承認:プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ
・相続放棄:プラスもマイナスも含めて何も引き継がない
どの方法を選ぶかは、財産の内容次第です。
そのため、まずは遺産の全体像を把握することがとても大切になります。
遺産相続手続きの流れ
遺産相続手続きの流れは以下の通りです。
手続きには期限があるものも多いため、計画的に進めましょう。
1.相続の開始
2.遺言書の確認
3.相続人の確定
4.財産の調査
5.単純承認・相続放棄・限定承認の選択
6.遺産分割協議
7.遺産分割協議書の作成
8.相続税の申告
9.相続登記(不動産の名義変更)
それぞれのステップを順番に解説します。
1.相続の開始
相続は、ご家族が亡くなられた日から始まります。
まず最初に行うのは、役所で死亡届を提出し、戸籍や住民票を整えることです。
これらの書類は、相続人を確定したり、財産を調査する際に必要になります。
2. 遺言書の確認
遺言書があるかどうかを確認します。
遺言書には、以下の3種類があります。
・自筆証書遺言:自分で書いたもの
・公正証書遺言:公証役場で作成したもの
・秘密証書遺言:内容を秘密にした遺言書
「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」が見つかった場合は、家庭裁判所で「検認」を行う必要があります。
「公正証書遺言」であれば、すぐにその内容に基づいて手続きを進めることが可能です。
遺言書がない場合は、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)をして、財産の分け方を決めていくことになります。
3. 相続人の確定
次に、相続人を確定します。
これは被相続人(財産を残した方)の戸籍謄本を出生から現在までさかのぼり「法定相続人」を確認する作業です。
相続人を正確に把握することは、遺産分割協議や手続き全体を進める上でとても重要です。
被相続人が再婚していた場合や、認知した子どもがいる場合など、見落としがあると手続きが無効になる可能性もあります。
4. 財産の調査
相続財産を調査し、財産目録を作成します。
財産にはプラスの財産(現金、不動産、預貯金、株式など)だけではありません。
マイナスの財産(借金、ローン、未払いの税金など)も含まれます。
財産の調査は、次のような作業が必要になります。
・預貯金:複数の銀行口座がある場合はすべて調査
・不動産:固定資産税評価証明書などを基に評価額を確認
・マイナスの財産:クレジットカードの明細や借入金の契約書などもチェック
財産の調査は意外と手間がかかります。
「見落としが不安」という方は、ぜひ私たち司法書士にご相談ください。
5.単純承認・相続放棄・限定承認の選択
財産の調査が終わったらどう引き継ぐかを決める重要なステップです。
「単純承認」「相続放棄」「限定承認」のいずれかを選択します。
・単純承認
プラスの財産もマイナスの財産もすべて引き継ぐ方法です。
単純承認では特別な手続きは必要ありません。
・相続放棄
財産のすべてを放棄する方法です。
家庭裁判所に対して相続放棄の手続きをおこないます。
借金が多い場合などに適していますが、期限を過ぎると放棄ができなくなるため注意が必要です。
・限定承認
プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ方法です。
相続人全員が同意する必要があり、手続きが複雑なため、専門家に相談することをおすすめします。
「単純承認」「相続放棄」「限定承認」のどれを選ぶべきかは、財産の内容や状況によって異なります。
判断に迷ったときは、ぜひ私たち司法書士にご相談ください。状況を丁寧にヒアリングし、最適な方法をご提案いたします。
6. 遺産分割協議
相続人全員で話し合い、遺産の分け方を決定します。
これを「遺産分割協議」と呼びます。
遺産分割協議は全員の合意がなければ成立しないので、一人でも反対する相続人がいたり、協議に非協力的な相続人がいたりすれば、協議はまとまりません。
協議がまとまらない場合、家庭裁判所で調停が必要になることもあります。
7.遺産分割協議書の作成
話し合いがまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」として書面にまとめます。
これは相続人全員の同意があったことを証明するもので、今後の名義変更や相続税申告の手続きにも必要になります。
8. 相続税の申告
相続税の申告は、相続開始から10か月以内に行う必要があります。
期限を過ぎると延滞税や加算税が発生する可能性があるため、早めに準備を進めることが大切です。
ただし相続税には一定の非課税枠があり、実際に税金が発生するケースは全体の5%程度ともいわれています。
「自分の場合はどうだろう?」と疑問に思われる方は、ぜひ専門家に相談してみてください。
9.相続登記
亡くなった人が不動産を所有していた場合、その不動産の名義変更が必要になります。
この手続きを「相続登記」といい、2024年4月1日から義務化されました。
相続財産に不動産があることを知ったときから3年以内に登記しないと、10万円の過料が課される可能性があります。
遺産相続に必要な書類は?
必須書類一覧とその取得方法
遺産相続手続きを進めるには、いろいろな書類を用意しなければなりません。
また、不動産の相続登記には他にも書類が必要になります。
✅ 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
取得方法:市区町村役場で請求できます。
※被相続人の戸籍を出生から死亡までさかのぼって取得する必要があります。
✅ 被相続人の住民票の除票と戸籍の除票
取得方法:市区町村役場で請求できます。
※これらの書類は、被相続人が亡くなった後、その住所地や本籍地で発行されます。
✅ 相続人全員の戸籍謄本
取得方法:各相続人の本籍地の市区町村役場で請求できます。
※相続人全員が法定相続人であることを証明するために必要です。
✅ 相続人全員の印鑑証明書と実印
取得方法:印鑑証明書は、各相続人の住所地を管轄する市区町村役場で請求できます。
※実印は遺産分割協議書や名義変更手続きで必要になります。
✅ 財産に関する書類
預金通帳:各金融機関で発行を依頼します。
不動産の権利証:相続する不動産に関する書類です。
株式の明細:証券会社に問い合わせて取得します。
✅ 遺言書(ある場合)
取得方法:遺言書がある場合は相続人が保管していることが多いですが、公正証書遺言の場合は、公証役場で原本を確認できます。
遺産相続手続きの期限
相続手続きにはいくつかの重要な期限があり、それぞれ期限内に進めなければならない手続きが異なります。
<3か月以内に行う手続き>
・死亡届の提出
・社会保険と年金関係の手続き
・生命保険と損害保険の手続き
・相続人の確定
・遺言書の確認
・相続放棄・限定承認の申請
<4か月以内に行う手続き>
・所得税の申告・納付
<10か月以内に行う手続き>
・相続財産(遺産・債務)の調査・収集
・遺産分割協議
・預貯金・有価証券などの換金・名義変更
・不動産の名義変更(相続登記)
・借入債務の承継手続き
・相続税の申告・納付
<1年以内に行う手続き>
・遺留分侵害額請求
<3年以内に行う手続き>
・死亡保険金の請求
・相続登記
遺産相続手続きで注意すべきことは?
相続人を正確に把握している?
被相続人の戸籍をしっかり確認し、相続人を特定することが大切です。
見落としがあると、後でトラブルになる可能性があります。
遺産をすべて把握している?
財産目録を作成し、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も確認します。
財産の分け方をどうする?
遺産分割は、相続人全員が納得する形で行うことが大切です。
不動産のように分けにくい財産は、売却して現金化する方法や代償分割(他の相続人へ補償金を支払う方法)も検討しましょう。
手続きの期限を把握している?
相続にはいくつかの期限があるため、スケジュール管理が欠かせません。
期限を過ぎると手続きができなくなり、余分な税金が発生することがあるので注意しましょう。
司法書士による手続き代行
相続手続きは多くの書類や手続きが必要で、慣れていない方にとっては大変な負担となります。
相続手続きを丸ごと代行できる司法書士に依頼することで、時間や手間を大幅に省けるため、忙しい方や手続きに不安のある方に喜ばれています。
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まとめ
遺産相続手続きは、誰にとっても慣れない作業です。
「手続きが複雑で不安…」と感じたときや、「期限に間に合うか心配」といった場合は、私たち司法書士にご相談ください。
専門家のサポートで、確実かつ安心して手続きを完了させるお手伝いをいたします。