遺産相続に期限はある?司法書士がわかりやすく解説します
ご家族が亡くなられたあと、気持ちの整理がつかない中で考えなければならないのが「相続」のこと。
「いつまでに何をすればいいの?」「何から始めればいいの?」と、不安に感じる方も多いと思います。
じつは、相続には「期限」が決まっている手続きがいくつかあります。
期限をすぎてしまうと、大切な手続きができなくなったり、よけいな税金がかかったりすることもあります。
この記事では、司法書士が相続の「期限」について分かりやすく解説します。
相続っていつから始まるの?
相続は、ご家族が亡くなられたその日から自動的に始まります。
手続きをしないと始まらないわけではなく「亡くなった日=相続のスタート」と考えてください。
ただし、いろいろな手続き(不動産の名義変更や銀行口座の手続き、税金の申告など)は、自分たちで準備を進める必要があります。
▶遺産相続の手続きを分かりやすく解説!必要書類や流れ、注意点まとめ
相続に関係する主な手続きの流れ
相続は、こんな流れで手続きを進めていきます。
1. 戸籍を集めて「相続人」を調べる
2. 財産や借金を調べる
3. 相続するか、放棄するかを決める(※期限があります)
4. 財産の分け方を話し合う
5. 不動産や銀行の名義変更
6. 相続税の申告と納税(※期限があります)
この中で「期限が決まっているもの」と「とくに期限がないもの」があります。
次の章から、具体的な期限をわかりやすくご紹介していきます。
手続きごとの期限一覧
◆相続放棄や限定承認:3か月以内
相続は、「プラスの財産(お金・不動産)」だけでなく、「マイナスの財産(借金など)」も引き継ぐことになります。
借金が多い場合は「相続放棄(そうぞくほうき)」という手続きをすれば、相続をしないこともできます。
この手続きには期限があり、自己のために相続の開始があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申し出なければなりません。
また、「限定承認(げんていしょうにん)」という、もらった財産の範囲内で借金を払う方法もありますが、これも3か月以内に手続きが必要です。
期限をすぎてしまうと、もう放棄や限定承認はできなくなってしまいます。
「借金があるかも…?」と不安な方は、早めにご相談ください。
◆相続税の申告と納付:10か月以内
相続税の申告が必要な場合は、亡くなった日から10か月以内に税務署へ申告・納税をする必要があります。
この期限をすぎると、ペナルティとして「延滞税」や「加算税」がかかってしまうことも。
相続税がかかるかどうかは、もらった財産の金額によって決まります。
ざっくり言うと、4,000万円〜5,000万円以上の財産があると、相続税がかかる可能性が高いです。
財産の調査や、分け方の話し合いも必要になるので10か月はあっという間です。
少しでも「多そうだな」と思ったら、すぐに専門家へ相談するのがおすすめです。
◆不動産の名義変更(相続登記):3年以内
土地や建物を相続したときは、名義変更しなければいけません。
これを「相続登記(そうぞくとうき)」といいます。
これまでは期限がありませんでしたが、2024年4月から法律が変わって、
不動産を相続により取得したことを知ってから(遺産分割により取得した場合は当該遺産分割から)3年以内に名義変更をしないといけなくなりました。
期限をすぎると、10万円以下の過料が科されることもあります。
「急がなくても大丈夫」と思って後回しにしがちですが、実はとても大事な手続き。お早めのご相談をおすすめします。
◆銀行の口座(預金)の手続き:目安は5年以内
亡くなった方の銀行口座は、金融機関に連絡すると「凍結(とうけつ)」され、お金の出し入れができなくなります。
預金を引き出すには、相続人全員の同意書(遺産分割協議書)を出す必要があります。
法律上の明確な期限はありませんが、銀行ごとに「〇年たつと口座を解約される」というルールがあることもあります。
一般的には、5年以内に手続きをするのが安心です。
◆遺産の分け方の話し合い(遺産分割協議):期限はないけど…
相続人どうしで、財産をどう分けるか話し合うことを「遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)」といいます。
この話し合いには、はっきりとした期限はありません。
でも、協議がまとまらないと、
• 銀行や不動産の手続きができない
• 相続税の申告(10か月以内)に間に合わない
• 将来的にトラブルや税金の問題が起きる
といった可能性があります。
「あとでゆっくり話そう」と思っているうちに時間が過ぎてしまい、手遅れになることも。
できるだけ早いうちに話し合いを始めることが大切です。
まとめ:相続の手続き、期限があるものは要注意!
相続には、期限が決まっている手続きと、そうでないものがあります。
特に注意したいのは、次の3つです。(起算点は上述の通り。)
• 相続放棄・限定承認 → 3か月以内
• 相続税の申告・納税 → 10か月以内
• 不動産の名義変更(相続登記)→ 3年以内
期限をすぎると、「もうできません」と言われてしまう手続きもあります。
何もせずにそのままにしておくと、あとで困ることになるかもしれません。
「まだ時間があると思っていた」「何から始めたらいいか分からない」
そんな方は、ぜひ一度、司法書士など専門家にご相談ください。
相続のご相談はお早めに。初回無料でお話を伺っています
つなぐ相続・遺言相談所では、「誰に相談すればいいのか分からない」「親が亡くなったばかりで、何をすればいいか不安」という方のために、初回の無料相談を行っています。
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不安な気持ちをそのままにせず、まずはお気軽にご相談ください。