遺言の執行者とは?執行者の役割を解説
大切な財産を次の世代へと引き継ぐために、遺言を残すことはとても重要です。
しかし遺言を書くだけで、すべてがスムーズに進むとは限りません。
「遺言に書いた内容が、本当にその通り実現される?」
「相続の手続きをスムーズに進めるには、どうすればいいの?」
このような不安を解決し、遺言の内容を確実に実行するために必要なのが遺言執行者(いごんしっこうしゃ)です。
今回は、遺言執行者とはどんな人なのか、その役割や選び方について分かりやすく解説します。
目次
▶遺言執行者とは何をする人?
▶遺言執行者は必要なの?
▶遺言執行者の選び方とは?
▶遺言執行者の役割とは?
▶遺言執行者は誰にすべき?
▶相続手続きを進めるのが難しいと感じたら…
遺言執行者とは何をする人?
遺言執行者(いごんしっこうしゃ) とは「遺言の内容を実現するために必要な手続きをする人」のことです。
例えば、遺言に「長男に自宅を相続させる」と書かれていた場合、それを実際に登記(名義変更)する手続きを進めるのが遺言執行者の役割です。
遺言があっても、手続きが進まなければ意味がありません。
相続人だけでは、何をすればいいのか分からず、手続きが滞ることもあります。
そこで、遺言執行者がいると「決められた通りにスムーズに手続きを進めることができる」というメリットがあります。
複数人を遺言執行者にすることも可能で、司法書士や弁護士、信託銀行などの法人を指定することもできます。
遺言執行者は必要なの?
遺言がある場合でも、相続手続きは意外と大変です。
とくに、次のようなケースでは遺言執行者を決めておくことが重要になります。
• 相続人が多い
• 財産の種類が多い(不動産、預貯金、株など)
• もめる可能性がある
例えば、遺言に「長男に家を相続させる」と書いてあっても、不動産の名義変更(登記手続き)は専門的な知識が必要です。
また、預貯金を相続する場合でも、銀行での手続きには書類が多く、相続人全員の同意が必要になることもあります。
このような複雑な手続きをスムーズに進めるために、遺言執行者が必要なのです。
なお、そもそも遺言書にはどのような法的効力があるのかを知っておきたい方は、こちらのコラムも参考にしてみてください。
▶ 遺言書はどこまで効力がある?
遺言執行者の選び方とは?
遺言執行者を決めるには、2つの方法があります。
1.遺言で指定する
遺言の中で「○○を遺言執行者に指定する」と書いておく方法です。
これが最も確実で、スムーズに手続きを進めることができます。
2.家庭裁判所に選んでもらう
遺言で指定がない場合、相続人が家庭裁判所に申し立てをして、遺言執行者を選んでもらうこともできます。
しかし、後から家庭裁判所で選ぶとなると時間がかかりますし、誰がなるのか分からないため、相続人同士のトラブルにつながることもあります。
遺言執行者の役割とは?
遺言執行者には、具体的にどんな仕事があるのでしょうか?
主な役割を3つに分けて説明します。
1.相続人の確定
まず、遺言執行者は「相続人が誰なのか」を確定することから始めます。
戸籍を取り寄せて、遺言に書かれている人以外にも、法定相続人(法律で決められた相続人)がいるかどうかを調べます。
たとえば、
• 戸籍をたどって、子どもや兄弟姉妹を確認する
• 場合によっては、相続放棄をする人がいないかチェックする
こうした手続きを進めることで、後から「知らない相続人がいた!」というトラブルを防ぐことができます。
2.相続財産の調査
次に、遺言に書かれている財産をきちんと把握するために財産の調査を行います。
• 銀行口座の残高を確認する
• 不動産の登記情報を調べる
• 借金がないかどうかをチェックする
遺言に書かれている財産がすべて正しいとは限りません。
遺言が作成された後に、新たな財産が増えたり、逆に減ったりしていることもあります。
そのため、遺言執行者がしっかり調査を行い実際にある財産を正確に把握することが重要です。
3.財産目録の作成
財産を調べたら、財産目録(ざいさんもくろく)を作成します。
財産目録とは「どんな財産がどれだけあるのか」を一覧にしたものです。
• 預貯金の残高
• 不動産の情報(住所・登記内容)
• 株や投資信託の有無
• 借金やローンの状況
これらを整理し、相続人に対して分かりやすく説明できるようにします。
財産目録があることで、相続人同士の誤解を防ぎ、スムーズな手続きにつなげることができます。
遺言執行者は誰にすべき?
遺言執行者は、誰でもなれるわけではありません。
• 家族の中から選ぶ
• 司法書士や弁護士などの専門家に依頼する
この2つの選択肢があります。
家族を遺言執行者にすると、費用はかかりませんが、手続きが複雑で負担が大きくなります。
一方、司法書士などの専門家に依頼すれば、手続きをすべて任せられるため、相続人が安心して過ごすことができます。
「手続きを間違いたくない」
「相続人同士がもめないようにしたい」
このように考える方には専門家を遺言執行者にするのが安心な選択です。
相続手続きを進めるのが難しいと感じたら…
遺言執行者として相続手続きを進めるには、法律や手続きに関する知識が求められます。
銀行や法務局での手続き、不動産の名義変更など、思った以上にやるべきことが多く、日常の生活を送りながら進めるのは簡単ではありません。
「手続きが複雑で、どう進めればいいのか分からない…」
「自分ひとりで対応するのは不安…」
そんなときは、専門家に相談することでスムーズに手続きを進める方法が見つかるかもしれません。
ご自身で対応するのが難しいと感じたら無理をせず、早めに専門家に相談することをおすすめします。
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